離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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太陽が傾き、セミの鳴き声が静かになってきた夕暮れ。百々花と愛華は、広大な庭を前にして並んで立っていた。
「できたね」
「……うん、できた」
愛華の言葉をポツリと繰り返す。肩を上下させ、胸いっぱいに呼吸をした。
暑い夏にも負けない花木を揃え、色鮮やかな庭が仕上がった。
あとは、弘和がこれを見てどう思うか。勝手にしなさいと言われてここまでやったものの、逆鱗に触れないとは言いきれない。
純粋に庭を蘇らせたかったからとはいえ、少しでも弘和の心を開きたいのも事実。どうかと願わずにはいられない。
「お義父様に声かけないの?」
「どうしようかな……」
終わったことだけでも伝えようか。顔すら出してくれない可能性もあるが、完成したと伝えたい。
よし、言ってこよう。
百々花がグローブとエプロン型のウエアを外したときだった。