離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

◇◇◇◇◇

太陽が傾き、セミの鳴き声が静かになってきた夕暮れ。百々花と愛華は、広大な庭を前にして並んで立っていた。


「できたね」
「……うん、できた」


愛華の言葉をポツリと繰り返す。肩を上下させ、胸いっぱいに呼吸をした。

暑い夏にも負けない花木を揃え、色鮮やかな庭が仕上がった。
あとは、弘和がこれを見てどう思うか。勝手にしなさいと言われてここまでやったものの、逆鱗に触れないとは言いきれない。

純粋に庭を蘇らせたかったからとはいえ、少しでも弘和の心を開きたいのも事実。どうかと願わずにはいられない。


「お義父様に声かけないの?」
「どうしようかな……」


終わったことだけでも伝えようか。顔すら出してくれない可能性もあるが、完成したと伝えたい。

よし、言ってこよう。

百々花がグローブとエプロン型のウエアを外したときだった。
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