離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「真奈加さんも父と式を挙げたらどうかな」
それは以前から百々花が考えていたことだった。十六歳の若さで昌也を出産してシングルマザーの道を選んだ真奈加は、当然ながら結婚式を挙げていない。
「でも、利一さんが嫌がるんじゃないかな」
「そんなことないと思うな。だって、真奈加さんにベタ惚れだもん」
デレデレと眉尻を下げて従うだろう。きっと真奈加のウエディングドレス姿を見たら、表情筋がすべてだらーんと垂れ下がるに違いない。
「もしもそうなったら、私がブーケとか用意したいな」
「ぜひぜひ! 私も百々花さんに作ってもらいたい! あ、でも、ちょっと先延ばしになっちゃうかな」
どうして?と百々花が首を傾げると、真奈加が急にそわそわとし始める。お腹に手をあてる仕草を見て、百々花はピンときた。
「もしかして……!」
「じつはそうなの。今、五ヶ月でね」
真奈加は頬を染めて優しく笑った。