離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

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シュプリームウエディングの流川に靴を届けてもらった翌日、シフトで仕事が休みの百々花は、再びシュプリームウエディングのあるオフィスビルへやって来た。

昨日はスニーカーを届けてくれたお礼もままならず、さらには千景の存在を忘れるという非礼を詫びるためでもある。
やはりそのままにしておくわけにはいかない。

休みのため、いつものユニフォームではなく、とろみ素材のブラウスとパステルカラーのスカートを着てきた。ビルで働く女性たちから浮かないためと、気後れしないためである。

アポイントは昨日同様にない。
お礼とお詫びにと、今朝店に寄って作ったミニアレンジメントを持参している。

エレベーターを降りて受付の前で足を止めると、昨日と同じ女性が「いらっしゃいませ」と会釈をした。


「アリアシェリーの神谷と申します」


女性は、昨日も百々花が訪問したことを思い出したようで〝あぁ〟といった表情を浮かべる。


「社長の流川さんはいらっしゃいますか?」


会えないのは承知のうえ。それでも、もしかしたらという思いもある。
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