離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

彼に送らせるなど、もってのほか。
ところが千景もそこで引かない。


「少し話がしたいんだ。付き合ってもらえるとうれしい」
「話……私と、ですか?」


千景のような男からそう言われるとは思いもせず、唖然として彼を見上げる。

話って……なに? アポもなしに会社に来るなとか?

ほかに思い当たる節がないため、頭の中は軽いパニックだ。


「二度も会社に来てくれたみたいだけど、不在で悪かった」
「こちらこそ、すみません」


二度もというフレーズが、彼に迷惑をかけたかもしれないと思わせる。忙しい最中だと、名刺を置かれるだけでも煩わしいのかもしれない。


「じゃ乗って」
「ですが」
「乗せてく」


短い言葉で百々花の足を車へと向かわせる。

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