離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

ここは公道。さきほどから通行人の視線をチラチラと浴びるのは、千景がずば抜けて優れた容姿をしているためだろう。
その彼と目立つ場所で押し問答をしているのもどうかと思い、百々花は千景に従って車に乗り込んだ。

ミスティチャイムのおおまかな場所を告げると、静かなエンジン音を響かせて、車が走りだす。


「女性から花をプレゼントされたのは初めてだったよ」


千景に言われ、男性に花を送った自分の思慮の浅さに気づく。百々花の仕事柄とはいえ、たしかに男性が花をもらってもうれしくはないだろう。

そこに、シュプリームウエディングとの仕事に繋がるかもしれないという打算があったのも事実。打算的ではずかしい。


「ご迷惑でしたよね、花なんて」
「いや、その逆。うれしかったよ」
「……本当ですか?」
「ああ」


思いがけない言葉をかけられ、気持ちが解れる。


「センスがあるんだな」

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