離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「花を仕事にしていますので。白状すると、あの花からブライダルフラワーの仕事に繋がるといいなという企みもあったのでがんばりました」


褒められた照れ臭さを隠したくて、うっかり暴露してしまった。
想定外の事態のせいで口が滑ったのだ。


「キミは正直だな」
「すみません」
「謝ることはない。上辺だけ取り繕うより、よっぽどいいよ」


千景はチラッとだけ百々花に視線を投げ、かすかに笑みを浮かべた。


それから数分後、地中海レストランのミスティチャイムに到着した。
天井が高く開放的な店内にはスポット的に照明がいくつも配置され、ウッディで落ち着きのあるおしゃれな内装だ。


「いつもありがとうございます。アリアシェリーの神谷です」


百々花が挨拶をすると奥からオーナーである吉永(よしなが)(さとる)が出てきた。
長くヨーロッパに住んでいたという四十代後半の吉永は、二年前にここに店を出したばかり。

< 38 / 301 >

この作品をシェア

pagetop