離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「こんな時間に申し訳ありません」
人のいい顔で吉永が腰を低くする。
「いえ、お気になさらずに。オリーブの葉が落ちてしまうと伺いましたが」
連絡をもらったオリーブは、街路に面したガラス張り扉とウッドデッキの境目にある。
ちょうど夕食の時間帯と重なり、賑わう店内を抜け吉永の後を追った。
そこには鉢植えのオリーブが三つ。ヨーロッパ原産の植物で、道行く人たちへ地中海レストランをアピールするアクセントととして百々花が提案したものだ。
報告があったように葉が黄色くなり、鉢植えの中にもたくさん落ちている。百々花が見ているうちにもハラハラと数枚が散った。
「いつ頃からこのようになりましたか?」
お客の邪魔にならないよう極力、声のトーンを落とす。
アリアシェリーからレンタルしている植物のため交換は可能だが、原因は探っておきたい。
「一週間くらい前でしょうか」
「水やりの頻度は?」
「そうですねぇ……」