離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりとです」
「わかりました。やってみます」


吉永への説明を終え、挨拶を交わして振り返ると、そこに千景の姿があった。
車で待っていると思っていただけに、心臓が軽く飛び跳ねる。オリーブに夢中になり、彼がいるのも気づかなかった。


「お待たせしてすみません」


待ちくたびれて車から降りたのかもしれない。


「この店のグリーンコーディネートはキミが?」
「はい、そうです」


吉永と打ち合わせを重ね、希望に沿ったものを提案させてもらっている。


「店全体はもちろん、フロア中央は雰囲気があってとてもいい」
「ありがとうございます」


うれしい感想に気分が弾む。

店内にはボリュームのある樹種をいくつか配置しているが、フロア中央には枝ぶりのいいパキラを置き、スポットライトをあてて壁に印象的な影をつくる演出をほどこしている。

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