離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

試しに自分の頬をつねると、しっかり痛みを感じてホッとする。

でも、どうしていきなりそんないい話を持ちかけてきたんだろう……。

喜んだそばから、不可解な思いも芽生える。
これまで取引があったのならまだしも、会社を訪問して会えなかったばかりか、スニーカーを届けてもらう迷惑をかけたのに。


「どうして突然、アリアシェリーを使ってくださろうと思ったんですか?」
「アリアシェリーにじゃない。キミが届けてくれたアレンジメントを見て、キミに仕事を頼みたいと思ったんだ」


千景の言葉がいったん耳を素通りし、カーブを描いて戻ってくる。

あの花を見て仕事を……?

あれが仕事に繋がればいいなと考えたのは事実。でも、それが本当に叶うとは正直思っていなかった。ほんのわずかな期待に過ぎなかったのだ。


「今の店のグリーンコーディネートはもちろん、キミの仕事に対する真摯な姿勢を見させてもらったからこそお願いしたい」


車が信号待ちで止まり、千景がゆっくりと百々花を見る。
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