離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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何杯飲んだのか、もはやカウントすらできない。
百々花も愛華も、いい具合に出来上がりつつあった。とはいえ、ここは高級ホテルのラウンジ。誰に迷惑をかけるわけでもなく、静かにひっそりと酔っている状態である。
「百々花、もうこうなったら、ここで結婚相手を見つけちゃおう」
アルコールのせいとはいえ、愛華が突拍子もないことを言う。
この場で調達なんて無理に決まっているとわかっていながらも、酔いに任せて「そうするー」と百々花もおふざけに乗っかる。
ふわふわといい気分だ。
そうして楽しいお酒を飲んでいると、ふと百々花を呼ぶ声が耳をかすめる。
気のせいかなと思いつつ声の方を見た百々花は、自分の目を疑った。百々花の見間違いでなければ、そこに千景がいたのだ。
飲み過ぎて幻覚でも見えたのかと思ったが、そうではないらしい。
「百々花さん」
再び名前を呼ばれた。アルコールの幻覚作用のせいか、シラフのとき以上にベルベットボイスが脳神経を甘く刺激する。