離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「流川さん……! こ、こんばんは」
なんとか背筋を伸ばし、挨拶を交わす。
千景はひとりのようだった。
いつものように仕立てのいいスーツをさらりと着こなし、美麗なオーラを放ち放題だ。
さすがは社長。高級ホテルのラウンジがよく似合う。
「もしよろしかったら、お隣どうぞ」
いつもの百々花だったら、千景を相手にしてそんな大胆なことは言えなかっただろう。
不思議なことに、今夜の千景は圧迫するような空気を感じない。
それもこれも、いい具合に酔っているからに違いない。気持ちがかなり大きくなっている証拠だ。
千景は「じゃ、そうさせてもらうよ」と百々花の隣に腰掛けた。
「百々花、もしかしてシュプリームウエディングの流川社長?」
右隣の愛華が百々花の腕をツンツンとして、小声で尋ねる。
「うん」