離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
百々花が返事をするや否や、愛華が千景に声をかける。
「流川さん、よかったら百々花と結婚してもらえませんか?」
「ちょっと愛華! いきなりなにを……!」
暴挙を引き留める理性は残っているらしい。百々花は身を乗り出した愛華を押さえた。
「すみません、流川さん」
慌てて千景に謝る。いつも余裕のあるさすがの彼も驚いたのか、切れ長の目を見開いていた。
酔っ払いの戯言だと聞き流して……!
恥ずかしいのを誤魔化そうと、百々花は目の前のカクテルを飲み干した。もはや、なんのカクテルなのかも朧げである。
身体にさらに注入されたアルコールが、百々花の思考能力を危うくさせていく。
気分だけはとても良く、空に浮いているような夢見心地だ。
「どうしていきなり結婚を?」
千景に聞かれて、考える隙もないままに口が答える。