離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「そうだよ。正確に言えば、まだ届けを出してはいないけど」
「……はい?」


もしかしたら、百々花はまだ目覚めていないのかもしれない。
酔いつぶれてアルコールに侵されたまま、深い深い眠りの途中。これは夢であって、現実ではない。そんな気がしてならない。

首を傾げた百々花に微笑みながら立ち上がり、千景はソファに置いてあったバッグから薄い紙のようなものを取り出した。
それを百々花の目の前に広げる。

これって……!

婚姻届だった。

えっ、ちょっと待って!

信じられないことに、妻となる者の欄に百々花のサインがある。代筆ではなく、紛れもなく自分の書いた字だ。
そして、夫の欄には千景の名前が記入されていた。

……どういうこと?

百々花は用紙を前にして放心状態だ。


「記憶が定かじゃないようだから、もう一度言うよ」
「えっ、あの!?」

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