離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

千景から昨夜のラウンジでの話を聞いているうちに、断片的ではあるにせよ、百々花も記憶を取り戻しつつある。

あの場には、アリアシェリーの顧客でもある美咲も現れ、なんと千景の従姉という事実まで判明。
酔った勢いで、その場のノリで結婚に了承したと言ってもいいような記憶に頭を抱えたくなった。

ここまでアルコールに溺れたのは初めてだよね……。たしかに家を出たいのはやまやまだけど……。

そのうえ、相手があの流川千景だというのだから。
百々花は、自分が下した決断にすっかり尻込みしていた。

シャワーを浴び終え、髪が半乾き状態のままタオルを首から提げて百々花がキッチンへ向かうと、そこには相変わらず糖度の高いふたりが肩を寄せ合い料理をしていた。
土曜日のためブランチといったところか。


「はい、利一さん、あーん」


真奈加が箸でつまんだものを口もとに持っていくと、利一は「あーん」と甘えるように口を開けた。


「うまいなぁ。でも、もっとおいしいのは真奈加のほうだぞー。いっそ食べてしまいたーい」
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