離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
恥ずかしげもなく言って真奈加に抱きつき、キスをした。
まったくもって見ていられない。
夫婦がラブラブなのはいいし、父親を取られて嫉妬しているわけでもない。とにかく熱すぎて、目もあてられないふたりなのだ。
やっぱり結婚して、家を出る以外にないのかも。
そう思わざるを得ない状況が目の前で繰り広げられていた。
父親にひとり暮らしを反対されている以上、千景が提案するように彼との結婚でこの家を出るのが得策なのではないか。一度出てしまえば、離婚したとしても戻らなければいい。
恋人のいない自分には、今すぐほかに結婚できるような相手はいない。そうなると、千景は適任と言える。
かなり突飛な発想ではあるけれど、彼にも彼なりの事情があるようだし、お互いに悩みを解消するにはいい方法だ。
ついさっきまで本当にそれでいいのかと悩んでいた百々花だったが、目の前のふたりを見て決意が固まる。
うん、結婚しよう。そうしよう。
そう決めると、不思議ととても晴れやかな気持ちになった。
「あら、百々花さん、おはよう」
「こらっ、百々花! 朝帰りなんて嫁入り前の娘のすることじゃないぞ!」