離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「じつはふたりに大事な話があるの」


すでに婚姻届は記入済み。報告は早いほうがいい。
千景からも早々に挨拶に来たいと、送り届けられる途中で言われていた。


「大事な話?」


ふたりは顔を見合わせてから再び百々花を見る。


「ともかく座りましょうか。そうだ、コーヒーでも飲みながらがいいわね」


真奈加が甲斐甲斐しくコーヒーを淹れている間に、利一と百々花はダイニングテーブルに向かい合って座った。

さすがに結婚の報告ともなると緊張する。百々花は深呼吸を何度かして気持ちを落ち着けようとしたが、それほど効果は感じられなかった。
真奈加がコーヒーを三つ用意して利一の隣に座ると、ふたりの視線がいっぺんに百々花に注がれる。


「それで大事な話ってなんだ」


躊躇う理由はない。伝えるべきはひとつだけ。いざ出陣とばかりに意を決した。
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