離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「私ね、結婚するの。っていうか、したって言ったほうがどちらかというと正しいのかな」


言葉を訂正する。あとは婚姻届を提出するだけだ。
ふたりは「は?」と同時に顎を突き出した。タイミングばっちり。息の合い方が素晴らしい。


「なにを寝ぼけたことを言いだすのかと思えば、結婚ときたか」
「冗談じゃないの。本当なの」


一笑に付した利一に真顔で訴えたところで、背後から「結婚?」と訝ったような声がする。
振り返ると、そこには今起きてきたばかりといった様子の昌也が立っていた。眉根を寄せ、険しい顔だ。


「昌也、今起こしに行こうと思っていたところよ」


コーヒーの追加か、真奈加が立ち上がりかけるが、即座に昌也が切り返す。


「それより結婚ってなに」
「あ、あのね、昌也くん、私、結婚したの」
「は?」


利一や真奈加と同じ反応だった。言葉がまるで届かない、理解されない、そういった感じだ。
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