離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
利一たちとの話を終えて二階の自室に戻った百々花は、いの一番に愛華に電話をかけた。
まだ少し濡れた髪をタオルで拭いながら、ベッドに腰を下ろす。
昨夜、百々花と同じくらい飲んでいた愛華は、ふたりの結婚を覚えているのか。婚姻届にサインしたあたりも記憶がおぼろげの百々花は、そこから千景のマンションで目覚めるまでのことをほとんど覚えていない。
しぶといくらいに呼び出し音を鳴らし、愛華がようやく応答する。
『……もしもし』
かすれ声だ。飲みすぎた証拠なのは明白。
「愛華、おはよう。百々花だけど」
『あぁ……うん、どした』
どうやら寝起きのようだ。ベッドの上でもぞもぞと動く音が微かに聞こえる。
「昨日のこと、覚えてる?」
『昨日って……百々花と飲んだのならもちろん』
「そのほかは?」
『そのほかって、なにかあったっけ?』
電話越しにふわぁという欠伸が聞こえた。