離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「私の結婚」
『やだ、なにそれ』
なんの冗談かと愛華が笑い飛ばす。コロコロと軽快な笑い声を立てた。
「なにって、愛華が流川さんにけしかけたのが発端でしょう?」
その部分の記憶はありありと蘇った。愛華が軽い調子で千景に『よかったら百々花と結婚してもらえませんか』とたきつけたのだ。
『流川さん? ……あぁそういえば来たわよね』
「その流川さんと私、結婚するの」
『……へ?』
電話の向こうがしんと静まる。
やはり愛華にも覚えがないらしい。
『あの流川さんと……百々花が?』
「昨夜、婚姻届の証人欄に愛華もサインしたんだよ?」
『……あれ、夢じゃなかったんだ』
なんと百々花の婚姻届に証人としてサインした夢を見たと思っていたと。