離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
『靴を届けてくれた人と結婚なんて、まさにシンデレラじゃないの、百々花』
「そんな軽く考えないで」
つい釘を刺したくなる。おかげで家を出られるきっかけにはなったけれど。
『だって、今や業界では右に出る者はいないって言われている敏腕社長だよ? しかも超イケメンだし』
有名なブライダルプロデュース会社なのは知っている。容姿端麗なのも一目瞭然。
でも……。
「……そんなにすごい人なの?」
『今さら尻込みしないしない。あんなにいい男が、せっかく百々花を見初めてくれたんだから』
「それは違うの」
千景が結婚を持ちかけた理由を愛華に聞かせる。決して彼に見初められたわけではない。
すると愛華は『なにそれ!』と電話から漏れるほど大きな声を出した。
『離婚前提ってなんなの? それはちょっとひどくない?』
「あ、だけどね、私も家を出られるし」
そうでもしなければ、延々とラブラブカップルをアリーナ席で見続けなければならない。