離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

誰かを喜ばせることができたとき。それはなによりもうれしいときだ。直接その顔が見られるフローリストの仕事は、本当にやりがいがある。


「もうすっかり元気なんですけど、今日は母の誕生日なので花束をあげようかなと思って」


塾帰りに寄ったという彼女と相談しながら花を選び、ラッピングをして店先で見送ったタイミングで目の前に白い車が停車した。

この車は……。

持ち主の顔を思い浮かべた同タイミングで、運転席から千景が降り立つ。日曜日なのに仕事だったのか、なぜかスーツ姿だ。

もしかして、この前話をもらったウエディングフェアのことでなにかあるのかな。

百々花がその場に立ってそんなことを考えているうちに、千景は百々花の前までやって来た。


「仕事はまだかかる?」
「いえ、閉店時間も過ぎたので。あのそれで、なにか……?」


まさか、ブライダルフェアの話が急きょなくなったのだとしたらどうしようかと、不安になって尋ねる。
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