死者の言葉〜最期のメッセージ〜
警察は、大富豪の男性が口論の末に女性を殺したとして男性を逮捕したが、血のついたガラス片が亡くなった女性の手にしっかりと握られていたのだ。

弁護側と検察側の激しい闘いとなり、世間でも裁判の行方が注目されている。

「先生!何か一言お願いします!!」

「事件の真相はどうなんですか!?」

報道陣に囲まれ、藍はどうすることもできずに立ち尽くしていた。その時。

「霧島さん!!」

研究所にアルバイトで来ている医大生、河野大河(こうのたいが)が報道陣をかき分け、藍の腕を掴む。そして、報道陣の中から藍を救出した。

「大丈夫ですか?」

大河が藍を心配げに見つめる。藍は「ええ」と頷いた。

大河は、この裁判を勉強会ということで傍聴している。藍は大河が来てくれたことにホッとした。

「ありがとう」

藍がそう微笑むと、大河は「いや!俺にできることがあったらまた……」と顔を赤くして言う。

そんな二人を、遠くから見ている人物がいることに誰も気付いていなかった。
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