死者の言葉〜最期のメッセージ〜
朝子の声が響き、いつもの解剖よりも緊張が伝わる。

「肌がサーモンピンクに変化している……。練炭自殺した遺体の特徴的なものですね」

大河が遺体の肌を観察して言うと、「自殺だと判断された遺体を、誘拐犯は解剖することを望んだ。何かあるはずだ」と如月刑事が言う。

朝子と聖が遺体の体にメスを入れていく。大河は遺体の内臓などを写真に収めた。

「大腸に手術の跡があります」

「肋骨にヒビが入っています」

いつもと変わらない解剖のように思えた。心臓の血液量を調べるまでは。

「血液量はーーー」

大河は心臓に残った血液を見て、「えっ!?この人たち練炭自殺じゃ……」と驚く。朝子や聖、そして如月刑事たちも驚きを隠せなかった。

遺体の心臓の血液量は少ない。三人の死因は練炭自殺ではなく、凍死だった。

「……そっか。凍死も練炭自殺も肌がサーモンピンクに変化する。解剖で心臓の血液量を調べないとわからない。もし解剖を命じられなかったら……」
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