死者の言葉〜最期のメッセージ〜
「どうかな?」

「……おいしいです……」

藍がそう言うと、睦月圭は安心したように笑う。

「よかった。妹に教わっておいてよかったよ」

そう言った睦月圭の顔はどこか切なげだった。藍はその顔を見つめる。

おでんを藍は食べさせられた後、ベッドに横になる。

そして、ゆっくりと目を閉じた。



翌日、藍は朝食を食べさせられている時に睦月圭に言われた。

「ねえ、朝食を食べ終わったらさ解剖をしてほしいんだ。僕は監察医じゃないから何もわからないんだよね」

悲しげな目で睦月圭は言う。藍は「一体どなたを?」と訊ねる。睦月圭は「僕の妹」と言い朝食を藍に食べさせる。

「僕の妹の名前は沙羅(さら)。演劇団の女優として舞台に立ち続けていた。でもある日、連絡が取れなくなって、その後住んでいたマンションの一室で遺体となって発見された。マンションの部屋は血の海になっていて、沙羅はその中で死んでいた。……アイツは絶対に殺されたんだ!」
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