死者の言葉〜最期のメッセージ〜
真実を告げるべきか、偽りを告げるべきか、何もすることがない状況で藍が考えることはこの一つしかない。

睦月圭は藍が話してくれるのをずっと待っている。いつまでも待たせておくわけにはいかない。

藍がぼんやりと窓の外を見つめていると、部屋に睦月圭が入って来た。しかしまだ夕食の時間ではない。睦月圭も食事は持っておらず、一冊のアルバムを手にしている。

「せっかくだし、沙羅のことを知ってもらいたくて」

睦月圭はそう言い、藍の隣に腰掛ける。ギシッとベッドが軋んだ。

「これは、沙羅の生まれた頃から死ぬ間際までの写真を集めたんだ。僕の大切なものだよ」

睦月圭はそう言い、アルバムの一ページ目を藍に見せる。まだ生まれたての睦月沙羅が映っていた。その隣には幼い睦月圭がいる。

「……可愛いですね」

藍がそう言うと、「でしょ?」と睦月圭は嬉しそうに笑う。そして睦月沙羅との思い出を話しながらページをめくっていった。
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