死者の言葉〜最期のメッセージ〜



裁判が始まり、藍が傍聴席の方を見ると席は全て埋まっている。この事件はそれほど世間に関心が集まっているのだ。

大河と目が合うと、大河は「頑張ってください!」と口を動かす。藍は微笑み頷いた。

被告人の男性は藍を睨みつけている。藍が裁判で発言をするたびに、もうやめろと言いたげな目を向けるのだ。

静粛な重い空気の中、裁判が始まる。今日がいよいよ判決の日なのだ。被告人の男性の顔に緊張が見える。しかし、弁護士は余裕の笑みだ。

「まず、彼は被害者です。彼の家に被害者が入って来た様子は防犯カメラには映っていない。つまり、被害者が彼を逆恨みし殺人犯に仕立て上げるために家に侵入して首をガラス片で斬ったのです!」

弁護士が熱く男性の無罪を訴える。男性の顔は徐々に安心したようなものになっていった。しかし、そんな彼らに藍は動じることはない。

ゆっくりと藍は立ち上がり、証言台に立つ。

「まずは、こちらの画像を見てください」
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