死者の言葉〜最期のメッセージ〜
大きなスクリーンに映されたのは、被害者の手のひら。ガラス片を握っている状態のものと、握っていない状態のものだ。

「通常、喉をガラス片で掻き切って死ぬ場合、手には傷が残ります。しかし、この手には傷は一つもありません」

藍がそう言うと、「しかし、それでは彼が殺したことにはなりません!」と弁護士が言う。藍は「確かに、傷だけでは被告が犯人だとは断定できません」と言い、次の画像を見せた。

スクリーンに映されたのは、被害者の衣服の写真だ。鳥の羽毛が付着している。

「この被害者に付着していた羽は、主にアイスランド北西部地域に生息する特別保護鳥のアイダーダックのものだと判明しました」

「それがどうかされました?」

「被害者は羽毛を付着させていましたが、これはあり得ないことなんです。なぜなら被害者は羽毛アレルギーで、以前肺に炎症を起こしたこともあったそうです。そんな方が自ら羽毛を体に付着させると思いますか?」
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