死者の言葉〜最期のメッセージ〜
藍の言葉に、被告人の男性が表情を強張らせる。その時、「裁判長」と言って検事が立ち上がった。

「被告人の家からは、アイダーダックの布団が見つかりました。穴が空いていて、羽毛が見えている状態でした。さらに、防犯カメラに被害者が映っていないとのことでしたが、女性が家に来た時の映像が削除されていたんです」

被告人の男性と弁護士はうなだれ、裁判は終わりを迎えた。



「裁判、お疲れ様でした!!」

その夜、藍は大河に「お祝いをしたいので」と食事に誘われた。綺麗な景色が楽しめるレストランだ。

「ここ、ハンバーグが本当においしいらしいんです!……でも何で如月刑事までいるんですか?」

藍にニコニコと話しかけていた大河は途端に不機嫌になり、隣に座っている藍の元恋人の如月大輔(きさらぎだいすけ)刑事を睨む。

「藍が有罪に持っていけたんだ。テレビでずっと見ていてすごいと思ったからな。きちんとお祝いさせてくれ」
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