恋はポテトと一緒に落ちてくる
「あいがと。」

そう言ってぺこりと頭を下げるまなちゃんは柚子のミニチュアみたいですごくかわいい。

「どう致しまして。」

俺は、まなちゃんの頭を撫でてやった。

「じゃあ、持っててやるな。」

俺は、そう言って、買ってやった綿菓子を再び手に取り、まなちゃんの柚子とは反対側の手を繋いだ。

小さっ!

その手は、俺の人差し指を握るのが精一杯で、キュッと掴む感触が、とても気持ちいい。

癒されるなぁ。

俺たちはそのまま境内まで行き、お社の裏手の石段に座った。

柚子は、ウェットティッシュを取り出すと、まなちゃんの手を吹いてやり、綿菓子の袋を開いて、少しちぎった綿菓子を手渡した。

「ゆずたん! ないよ!
お口で、シュワってなった!」

くくっ
綿菓子が溶けてなくなる感動を一生懸命伝えるまなちゃん。
めっちゃかわいいじゃん。

「柚子は、離婚したの?」

「ううん。」

そっか。未婚の母なんだ。

「あの、あのね、翔くん。」

「ん?」

「今さら、すっごく言いづらいんだけど… 」

「何?
あ! まさか、旦那はいないけど、
彼氏がいる?」

「あ、いや、そうじゃなくて… 」

「じゃあ、何?」

「あのね、真菜、私の子じゃないの。」

「ふうん。
………え?」

どういうこと?

「だから、真菜は、私の子じゃなくて、
お姉ちゃんの子。」

「は?」

「お姉ちゃん、2週間前に下の子を出産した
ばかりで、真菜をお祭りに連れて来れない
から、私が代わりに連れてきただけで、
私の子じゃないの。」

「え、嘘…
だって、子供の頃の柚子そっくりだし…」
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