恋はポテトと一緒に落ちてくる
 そんな毎日を過ごすうちに、気づけば、翔くんは私の中で特別な男の子になっていった。

私が初めて好きになった男の子。

だけど、翔くんは学年でも一、二を争う人気者。

私なんか相手にされる訳がない。


私は、隣の席にいられることで満足することにした。


 ところが、5月の終わり、夕凪先生は席替えをすると言い出した。

あーあ、これで翔くんの隣じゃなくなるのかぁ。

そう思っていたのに…


あ…れ?

発表された席は、また翔くんの隣だった。

クラス一の問題児(あきら)くんが教卓の前に座り、その左にしっかり者の友紀(ゆき)ちゃん、彰くんの後ろに翔くんでその隣が私という班編成。


 二学期も三学期も翔くんと同じ班で、隣ではなかったけれど、斜め前だったり、後ろだったりした。

 だから私たちは、進級当時からは考えられないくらい仲良くなったんだけど、やっぱり私には告白なんて高すぎるハードルで…

私が何もできないでいるうちに、卒業式を迎えてしまった。

 翔くんは中学受験をして、有名な中高一貫の進学校に進み、私は地元の中学に進んだ。

 あれから15年、私も人並みにいろいろあったけど、あの初恋は、今でも胸の奥の温かい場所で眠っている。
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