いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
それによって作る自分はラクになり、食べる家族も早く食事にありつけることを喜んで、おまけに洗い物まで減ったのだから、一石三鳥だと思った。

「作る人が少しばかり手を抜いたところで、食べる人は気分良く食べられさえすれば気にも留めません。食事の用意は毎日のことだから、作る人にとっては少しでも負担が少ない方がいいですよね。お勤めも家事も育児もしているお母さんならなおさらですよ」

「そっか……。家族みんなが楽しく食事できれば、それが一番なんだね。なんか少し気がラクになった、ありがとう」

たいしたことを言ったつもりはないけれど、大家族の食生活を支えた私の経験談は、『妻』と『母親』と『社会人』と言う役割を背負った未来さんの肩の荷を、ほんの少し軽くすることができたらしい。

率先して家事や育児をしている池崎課長のような素晴らしい夫がいても、仕事をしながら家事と育児をするのは、やはり大変なのだなと思う。

「良かったら食事の用意は私がしますけど」

「でもそれは真央ちゃんに申し訳ないよ」

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