いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「私は大丈夫ですよ、大人数の食事の支度には慣れてますから。でもお子さんたちがお風呂から上がってきたら、未来さんはまたあわただしくなるでしょう？今のうちにひと息ついてください」

「ありがとう……。じゃあ今日はお言葉に甘えて、そうさせてもらおうかな」

未来さんはふたつのマグカップにコーヒーを淹れて、ひとつは私のそばに置き、もうひとつのカップを持ってリビングに向かった。

そして結い上げた髪をほどき、大きく伸びをしてソファーに倒れ込む。

社長秘書ともなると、私にはわからないような気苦労があるのだろう。

無添加のコンソメと少量の塩で味付けをしたスープの小鍋に、薄く味付けしたハンバーグのタネを杏樹ちゃん用に少し取り分けて作った小さな肉団子と、粗めにみじん切りしたキャベツと玉ねぎを入れる。

これにとろみをつけて御飯にかければ、杏樹ちゃんの離乳食の完成だ。

私がハンバーグのタネを捏ねて形成していると、ソファーに体を投げ出してしばらく目を閉じていた未来さんがゆっくりと起き上がり、カップに口をつけてコーヒーを一口飲んだ。

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