キミに伝えたい愛がある。
「泣くなよ」



びっくりして顔を上げると、りっくんがいた。


あの日以来まともに顔を合わせていなかったからなんだか懐かしい感じがした。



「とりあえず中入ろ。誰もいないから大丈夫」



りっくんと共に教室に入ると、そこには私の知らない世界が広がっていた。


客席も舞台も完成されていて明日使用する小道具なども置いてあった。


私がいなくてもこのクラスは回っている。


私が居なくたっていいんだ。


むしろいない方がいいんだ。


そう思うと涙を流すのも、泣いてしまう自分も嫌になる。



「ちーどうした?」


「大丈夫...。全部自業自得だから」


「自業自得って何?」


「自業自得は自業自得だよ。りっくんには関係ない」



私がそう言うと、りっくんが私を抱き締めた。


りっくんにはめぐちゃんがいるのに、私が甘えちゃダメだ。


そう思うのに...


ただその胸に顔を埋め、泣くことしか出来ない。



「関係ないなんて言うなよ。俺は...ちーの幼なじみなんだから。一緒にあれ完成させよう。な?」



優しく頭を撫でられ、徐々に落ち着きを取り戻す。


私は何度も頷いて自分とりっくんに大丈夫だと言い聞かせた。


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