キミに伝えたい愛がある。
文化祭当日になった。


私は相変わらずのポジションで波風立てないように大人しくしていた。


劇の上映は文化祭の開会式の後、10時から2時まで1時間に1回行われる。


1日目終了時刻は4時。


役者の休みはたったの2時間。


それに比べれば裏方の私はだいぶ楽だけど、私の休みはほぼ無い。


皆やりたがらないから私は役者と同じくらいノンストップで働き続ける。


というよりむしろそっちの方が良い。


忙しいと気が紛れるし、空くんに変に干渉されなくて済む。


逃避のための策だなんて誰も知らないけど、それが本心。


仕方ない。



「おっはーちーちゃん!今日はよろしくね」


「うん。よろしく」



笑顔がぎこちなくなっているのに気付いた。


あの日からめぐちゃんに対して一線を引いてしまっている。


だけど、めぐちゃんは何も感じていないみたいで良かった。


私のめぐちゃんに対する思いは日々変化していてどれが正確かなんて分からない。


ただ1つ確実に言えることは、私はめぐちゃんを信じられなくなっているということ。


そしてそれが、私たちの築き上げて来た関係性をぶち壊しにする危険をはらんでいるということだ。


役者だけで円陣を組んでいるのを横目で見ながら、私は自分の複雑な心をフリーズさせていた。


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