キミに伝えたい愛がある。
「最終講演いよいよだね」


「あたしらさ、まともに観たこと無いから普通に楽しみなんだけど」



裏方女子たちが最前列を陣取り、私はその後ろの列の1番端に座った。


最終講演ということもあって今までで1番人が入っている。



「ちーちゃん、こんにちは」


「こんにちは。今日はご来場頂きありがとうございます」


「もちろん来ちゃったわよ。だってめぐとりっくんが主役なんだもの。それに高校最後の文化祭だしね。じゃあ、私は最後列だから行くわね」



後ろを振り返ると、めぐちゃんのお父さんと目が合い、ペコリとお辞儀された。


妹さんも来ていてなんだかとても楽しそうだった。


めぐちゃん家族は私の理想形。


私にはお父さんがいるけど、お金を入れるだけでほとんど会ったこともないし、血の繋がりもない。


そう思ったら気分が沈んだ。


一気に海底に沈められたような気がした。


これから2人の最後の舞台だというのにくよくよしてはいられない。


私は背筋を伸ばしてその時を待った。


< 108 / 168 >

この作品をシェア

pagetop