キミに伝えたい愛がある。
午後5時半。


会場の片付けもおおよそ終わり、私たちは後夜祭をすべく校庭に集まっていた。


一昔前を再現するかのように中央にキャンプファイヤーが置かれ、熱風がこちらまで吹いてきていた。



「皆さん今日はお疲れ様でした!ではこれから後夜祭を始めます!」



校長先生の掛け声と共に音楽が流れ出した。


最近話題の男性アイドルグループの曲だ。


私も定期演奏会でこの曲の吹奏楽バージョンを演奏した。



「懐かしいね、この曲」


「そうだね。あれから1ヶ月以上経つんだね」


「もっと吹奏楽やりたかったな。大学でもやろうかな」



大学か...。


空くんはおそらく推薦で決まるだろう。


それに引き換え私はポンコツ。


私はどうするんだろう。



「ちーちゃんさ、勉強して僕と同じ大学受けない?」


「えっ...。でも私バカだし...」


「大丈夫。僕が教えてあげるから。僕ちーちゃんと一緒に通いたいから、頑張って教えるよ」


「ありがとう。できるだけ頑張ってみる」


「そう来なくちゃ」



私の未来には空くんが居る。


この先もずっと空くんと一緒なんだ。


私のことを1番に考えてくれて、


私にたくさんの愛を与えてくれる。


そんな空くんを私も好きになりたい。


今よりもっと空くんを知りたい。


今までの思い出を忘れられるくらい、空くんと長い時間を共に過ごして未来を色鮮やかに染めたい。


そう...思うんだ。


思い込むんだ。



「僕たちも踊ろう。みんな行ってるし」


「私ダンス下手だよ?」


「大丈夫。僕が居るから」



空くんの言葉を信じて私は輝きの真ん中に歩いて行った。



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