キミに伝えたい愛がある。
部活で疲れはてた私たちはほぼ会話せず、約30分の道のりを揺られて過ごした。


空くんは大会曲の譜面を見ながら音楽を聴いていたけど、私にはそんな余裕はなく、空を見つめるのが関の山だった。



「次は...ヤマブキ町、ヤマブキ町。お出口は右側です」



あっという間に最寄り駅に到着。


私は降車ドアの前に立った。



「ちゆりちゃん待って!」


「えっ?」



私を追って空くんも降りてくる。


次々と改札に向かう人波から取り残される私たち。


私は状況を理解できず、空くんの言葉を待つしかなかった。



「遅いから送ってくよ」


「あ...ありがとう」



なんだ、そういうことか。


なら、よろしくお願いします 。



< 20 / 168 >

この作品をシェア

pagetop