キミに伝えたい愛がある。
私の家は最寄り駅から歩いて20分はかかる。

いつもはもっとたらたら歩いているからさらにおそくなり、帰宅する頃には8時を回っていることもしばしば。


でも今日は空くんが一緒に歩いてくれているから早いし、安心。


物騒な世の中だから何が起きるか分からないんだよね。



「あのさ、ちゆりちゃんに聞きたいことがあるんだけど...」


「何?」



突然の質問にこちらもびっくりだけど、とりあえず聞いてみよう。



「ちゆりちゃんてさ、その......好きな人とか...いたりするの?」


「えっ...す、す、す...好きな...人ぉ?」



こくりと頷く空くん。


暗くて顔がよく見えないけど、恥ずかしそうだなっていうのは伝わってくる。


私だってそんなこと聞かれたの初めてだから、恥ずかしい。


たとえ、答えが決まっていたとしても。



「私は...いないよ。友達として大好きなのはめぐちゃんだけど」


「そ、そっか...。はぁ、安心した...」


「安心?何が安心なの?」


「あっ、えっと...そのぉ...つまり...」



明らかに様子の違う空くん。


だんだんと歩くスピードも上がり、私の家も見えてくる。


―――と、その時だった。



< 21 / 168 >

この作品をシェア

pagetop