キミに伝えたい愛がある。
人生で初めて男子から告白された昨日の帰り道。


祖母が作ってくれた生姜焼きもほうれん草のお浸しも味噌汁も炊きたてのご飯も全て味がしなかった。


朝食もほとんど喉を通らず、２時限目を終えた時点でもう空腹。


お腹が鳴らないかヒヤヒヤしながら授業を受けている。


頭の中はユーフォニアムの音色が占拠し、いつまで経っても鳴り止まない。


授業に集中しなきゃならないのに...。


あぁ、ダメだ...。



「愛宮さん！」


「あっ、はいっ！」


「ぼーっとしてないでちゃんとノート取って下さい」


「すみません...」



急いでノートを広げ、黒板にかかれている漢文とその訳を書いていく。



「皆さん、文武両道は大変でしょうが、選んだのは皆さんです。くれぐれも勉強が疎かにならないように」



ある意味いい勘違いをしてくれているのは助かった。


だからといってこの悩みが消える訳ではない。


黒板の文字をただ写すだけのむなしい作業が続いた。


< 23 / 168 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop