キミに伝えたい愛がある。
「ちー、おはよー」


「あっ...、おはよう」



髪の毛が立った。


毎日1時間以上かけてアイロンを使ってストレートにしている髪が一瞬で崩れてしまった。


怒るというより、またか...っていう飽きれの方が強い。



「あーっ!陸、またちーちゃんに意地悪した!止めなよいい加減!」



陸と呼ばれた彼は、速水陸と言ってこちらも私の幼なじみだ。


私はりっくんと呼んでいる。


高校3年間ずっと同じクラスで小中もわりと同じになることが多かった。


めぐちゃんと離れても、りっくんとはなぜか一緒になる。


縁があるってことなんだろう。



「ちーちゃんはお人好しなんだよ!嫌なら嫌ってはっきり言わなきゃ」



陸くんを叩いて満足そうにこちらに来ためぐちゃんが言う。



「私、慣れっこだから大丈夫」


「そうは言っても年頃の女の子の髪に触るとか、デリカシー無さすぎじゃない?ほんと、いつまで経っても陸は子供なんだから~!呆れるわ!」



と言いつつもどこか嬉しそうな表情で、りっくんの席に向かって行った。


2人は前後か。


私はいっつも離れ小島だなぁ。


苗字が愛宮(えのみや)だから、仕方ないか...。


でも、寂しい。


やっぱり寂しい。



「はいはーい、皆さーん!ホームルーム始めますよ!」



担任の先生が入ってきて一気に教室が静まり返った。


私の高校生活最後の1年が幕を開ける。


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