キミに伝えたい愛がある。
「愛宮ちゆり!」


「はい」



授業の最初には必ず点呼を取られる。


毎回毎回返事をすることが私にとっては苦痛だった。


視線が私に一心に注がれるのが本当に恐怖。


視線恐怖症みたいな精神的な病かもしれないけど検査したことがないから分からない。


気が付いた時には既にびくびく怯えて暮らしていた。


自分の声も好きじゃない。


少し低くてもぞもぞとしたこの声に魅力など数ミリもない。


さらに言うならば、顔も体型も性格だって嫌いだ。


めぐちゃんはキレイな卵形だけど、私は丸顔で童顔。


この前映画に行った時は中学生と間違われたんだ。


必死に生徒手帳を出して高校3年生だということをアピールしたものの、結局はお詫びと言われて中学生料金で見ることになった。


嬉しいのか悲しいのかよく分からなかった。


そして、身長は152センチしかない。


小学6年生くらいで止まってから全く成長しなかった。


牛乳を飲んでも、背伸びをしても、ジャンプをしても、何をやっても空回り。


それを話すとりっくんに散々バカにされた。


りっくんは178センチもあるから良いだろうけど、ちびの私にとってはそれを言われるだけでも辛いのだ。


そしてそして、極めつけは...。



< 4 / 168 >

この作品をシェア

pagetop