キミに伝えたい愛がある。
母が帰った後、祖母は泣き崩れた。



「おばあちゃん...」


「ちゆりちゃん、ごめんね。ちゆりちゃんに寂しい思いばかりさせて...」


「おばあちゃんのせいじゃないよ。私はおばあちゃんと居られていっつも幸せだよ」


「そうかい。ありがとね、ちゆりちゃん。こんなおばあちゃんを許しておくれ。おばあちゃんの子育てが悪かったからこんなことになってしまったんだ...。本当にごめんね」



祖母が泣いて謝っても何も変わらない。


母が私を産み、ここで私が育ったこと。


母は再婚し、シンガポールで新しい道を歩み始めること。


私は泣くのを我慢して必死に祖母の背中をさすった。


祖母の嗚咽が古い我が家に響いていた。


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