キミに伝えたい愛がある。
舞台袖に到着し、緊張で手が小刻みに震えている。


頼りのめぐちゃんはもう隣にいない。


あぁ、ミスしたらどうしよう...。


私のせいで金賞取れなかったとか言われたら私どう弁明したらいいの。



「ちゆりちゃん」


「空くん...」



私のすぐ後ろには空くんがいた。


銀色に輝くユーフォニアムを抱えて私に微笑みかける。


その笑顔が救いだった。


ド緊張で硬直する身も心もゆっくりとほどけていく。



「ちゆりちゃん、最高のステージにしようね。そして、約束して...」



―――ダダダダン!


前の学校の演奏が終わり、拍手が起こる。


大音量に包まれているというのに、私の耳にははっきり届いた。



「片付けまで終わったら裏口に来て」


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