キミに伝えたい愛がある。
お巡りさん達が去っていき、りっくんと2人きりになる。


謝るなら、今だ。


今日の分も、この前の分もまとめて謝ろう。


許してくれなくてもいい。


とりあえず謝りたい。



「りっくん...ごめんなさい。私...りっくんのこと傷付けてばっかりで」



りっくんがしゃがみこむ。


痛かったよね。


辛かったよね。


ごめんなさい...。


本当にごめんなさい。



「りっくんごめんね。本当に...」


「ちー!」



りっくんに抱き締められ、チビの私はすっぽりと埋もれた。


りっくんは...泣いていた。



「ちーが無事で良かった...。生きてて...良かった」



なんて返したらいいか分からない。


花束もりっくんも置き去りにして帰ってしまった私をりっくんは見捨てないでいてくれた。


それどころか私のピンチを助けてくれた。


ありがとうだけじゃ足りない。


ありがとうより深い言葉を探しても見つからない。



「ああ、ごめん...。苦しかったよな」



りっくんは鼻をすすり、涙を手で拭う。


私はその様子をただ黙って見ていた。



「救急隊来ないな。来ないなら、帰るか。もう遅いし」


「そうだね」


「ちー立てる?」


「うん、大丈夫」



りっくんの大きな手の平をこんなに素直に握ったのは初めてだ。


小さい頃は私の方が身長も高かったし、がっしりしていたから、こんなチビに助けられてたまるかと思って、いつも自力で立ち上がっていた。


でも今は、その手を握りたくて、その温もりを感じたくて自ら手を伸ばした。



「よいしょっと。んじゃあ、帰るか。歩ける?」


「擦り傷だけだから大丈夫」


「あっ、ちょっと待って」



りっくんが私の頭に手を近付ける。



「葉っぱついてた」


「あっ...ありがとう」



胸がとくんと鳴ったのに気付いて、動揺している自分がいた。



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