副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「すみません。急に言い出してしまって。
それでは、今日から有休をいただいて、少し考えてみます」

心は決まっていたけど、一応、山岸さんの言葉に従った。

「佐山さん、どんな判断でも尊重する。ただ、これだけは覚えておいて欲しい。佐山さんは、この会社になくてはならない存在だよ」

「ありがとうございます。そんなふうに言ってもらえると……頑張ってきた甲斐があります。
それでは、ご迷惑をおかけしますが、一週間後に返事をします」

「わかった。とりあえず、ゆっくり休んで、心を落ち着かせて」

「はい。失礼します」


まだほとんど人がいないうちに、簡単に私物をまとめた。
いつでも出ていけるように整えて、会社を後にした。




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