副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
送信するとすぐに、母から電話がかかってきた。

「もしもし、美鈴?」

「もしもし。お母さんごめんね。なんか、心配させちゃったみたいで」

「なんでもないのならいいけど……」

「それより、お母さん。なんで私が、会社を休んでること知ってるの?」

「篠原さんっていう、あなたの上司の方から連絡があっての」

「えっ?なんで……」

篠原さんがなんで、母に連絡をするのだろう……

「あなたが、何か悩んでいるみたいだから、心配だって。仕事を辞めるかどうか迷ってるみたいだけど、異性の上司じゃ、なかなか本音を言えないかもしれないから、機会があったら聞いてあげてって言われて」

「篠原さんさんが、そんなことを……?」

「そうよ。いい上司さんじゃないの」

「う、うん。すごくよくしてもらってるよ」

「そう。美鈴の周りに、そういう人がいるってわかって、安心したわ」

「うん」

「何かあるなら、いつでも話に来るのよ。簡単に、仕事を辞めたらダメよ」  

「ありがとう。とりあえず、もう少しゆっくり考えてみるね」

「わかったわ。じゃあ、おやすみね」

「おやすみ」


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