副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
翌朝、食事をすませて荷物をまとめると、時間の許す限り、温泉街を散策することにした。
山間の静かな街を歩いていると、自然と涙が溢れてくる。
もう、泣かないって決めたのに……
今だけ、今だけと、自分に言い聞かせながら、涙が流れるのを感じていた。


下呂を出発する前に、篠原さんに帰宅の大まかな時間をメールすると、篠原さんからの返信で、17時半頃に、お互いに知っているカフェで待ち合わせをすることにした。



行きはあっという間に感じた道中だったけど、帰りはすごく長く感じる。






< 172 / 239 >

この作品をシェア

pagetop