副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「美鈴ちゃん。美鈴ちゃん自身は、東山さんのことをどう思ってるの?」

「私は……東山さんのことを、好きになってしまいました。契約が終わった後、彼の横に他の女性が並んでいるのを見るのが、辛いんです。
だから、もともといずれ実家に帰るつもりだったのを、少し早めることにしたんです」

「そうか…………だそうですよ、東山さん」

「えっ?」

篠原さんが何を言っているのかわからず、戸惑っていると、ふすまが開けられて、東山さんが姿を現した。

「ど、どうして……?」

「美鈴、無事でよかった」

わけがわからないまま、私は東山さんに抱きしめられていた。

「は、離してください!」

押し返そうにも男性の力にかなうわけもなく、力強く抱きしめられたままだ。

「東山さん、気持ちはわからなくもないけど、美鈴ちゃんを離してやって」

篠原さんに諫められて、東山さんはやっと私を解放してくれた。


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