副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「美鈴、僕の話を聞いて欲しい」

東山さんの真剣な目に、怯んでしまいそうだった。
何も言葉を発しない私を見て、東山さんが話し始めた。

「契約を解消するのは、僕も同意する」

もう一度言われたことに、胸が苦しくなる。

「その代わり、僕の本当の婚約者になってくれないか?」

「えっ?」

「僕は、美鈴のことが本当に好きなんだ。婚約者のふりをしてもらうなんて、とんでもないことを言い出してしまうぐらい、美鈴のことが好きなんだ。どんな手を使ってでも、僕のそばにいて欲しかったんだ。
契約をしている間、美鈴は僕のものでいてくれる。僕の本当の気持ちは、徐々に伝えていけばいいとして、ずるいやり方だけど、美鈴を縛り付けていたんだ」

「東山さんが、私のことを好き……?」

「そうだ。どうしようもないぐらいに、君を愛してる」

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