副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「そ、そうなんですか……私のことが変なふうに伝わってないといいのですか……」

「とんでもない。これまで会わせた友人達は、一様に美鈴のことを褒めてるよ。控えめなのに、しっかり僕を支えてくれる子だって」

「なんか、恥ずかしいです。けど、啓太さんの周りの方々に認めてもらえるのは、すごく嬉しいです」

「篠原さんだって、美鈴が会社の人間じゃなかったら、絶対に口説いてるってぼやいてた。全力で阻止するけど。さっきの〝嫁においで〟ってのも、あながち冗談じゃなさそうで、気が気じゃない」

「篠原さんのは、冗談ですって」

「いいや、そんなことはない!」

なんだか、ムキになってきた啓太さんがおかしくて、ついつい笑ってしまった。

「美鈴、僕は本気で君を盗られるんじゃないかって、心配してるんだぞ」

「ごめんなさい。ムキになってる啓太さんがおかしくて」

「こら。でも、心配だからこそ、今すぐ両親に紹介したいし、美鈴のお母さんにも、結婚の許しをもらいたい」

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